2007年
10月
31日
電話の相手を呼ぶトーンがなった。一回、二回、三回。心が震えた。
「もしもし。」
母が電話に出た。イチローは言った。
「親父と話がしたいんだ。呼んできてくれない。」
「そんなことはしないで。事を荒立てると、何があるか分からないん
だから。」
「そんなことはしないよ。」
イチローは母にニュー・ビジョンという自己啓発のセミナーを取って
いること、宿題が出て父と話をしなければいけないことを説明した。
そして、母が答えた。
「本当に大丈夫なんだろうね。変なことは言わないんだろうね。」
「大丈夫だよ。親父を呼んできて。」
母が受話器を置いて、父を呼びに行く音が受話器から聞こえた。しば
らくして、受話器を取ったのは母だった。
「電話に出たくないって言ってるよ。あの人電話嫌いだから。」
「どうしても、今話したいんだ。もう一度呼んできてくれる。」
また、受話器を置く音。一分、二分、三分が過ぎた。
「もしもし。お前と話したくないって言ってるよ。」
受話器から聞こえたのは、母の声だった。
イチローは母に手紙の内容を伝えた。すると、母の涙ぐんだ声が聞こ
えた。「ありがとう。。。」
<広い心を持つ>
運命のパートナーに出会い、一緒に素晴らしい人生を送るためには、
広い心を持ち、パートナーの良いところも悪いところも、すべてを好
きになろう。
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2007年
10月
30日
イチローは家に帰ってから手紙を書き始めた。始めようとしたという
ほうが正しい。筆が一向に進まないのである。なんと切り出して、何
を言ったらいいかまるで見当もつかなかった。
いままでの父親への嫌悪や憎悪が次から次へと頭の中に浮かんで渦を
巻いては消えていった。いつの間にか体中から汗が噴出し、疲労感が
押し寄せた。
今まで、あんなに嫌っていた父親へ寛容な手紙を書くためには、積も
り積もった醜い腐敗臭のする心に溜まった膿を出すことが必要だった。
イチローは、自分自身を切り裂くような感じに襲われた。
心の痛みをこらえ、その腐った膿を出さなければならなかった。心が
焼けるようだった。気が付くと、朝になっていた。机で手紙を書きな
がら寝てしまったようだ。机の上に広げた便箋に短い文章があった。
心の痛みを反映したかのような乱れた筆跡だった。
「親父さんへいま、ニュー・ビジョンという自己啓発のセミナーを取
っています。このセミナーで学んだことは、他人を許せない人間は自
分自身も許せないので、怒りや憎しみが知らない間に溜まって、いつ
も怒りを抱いた人間になってしまうということです。
そんな人間は友達も恋人もできないないし、世の中から、だんだん相
手にされないようになってしまうということがわかりました。僕が子
供のころの城ヶ島での一件を覚えていますか?
あのことで僕の心は傷つき、今まで大きな憤りを心に抱えてきました。
でも、こんな気持ちを持ち続ける限り、自分の心の成長はないと言う
ことに気づきました。
今、ここに親父さんに対する憤りや怒りを過去のものとして忘れ去ろ
うと思います。それをお伝えしたく思います。イチロー」
「よし!これからお袋に電話してこの手紙の事を聞いてもらおう。」
イチローは国際電話をかけ始めた。その時、アンソニー・ロビンスの
セミナーのリーダーの言葉を思い出した。
「お父さんとのことはいつか何とかしないと、君の人生にいつまでも
重くのしかかってくるよ。」イチローは思った。
「よし、いずれぶつからなければいけない事ならば、今、親父と話を
しよう!」
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2007年
10月
29日
まるで禅問答だ。セミナー・リーダーが続ける。「自分の思っている
ことが正しいとか絶対だとか思っていると、物事の色々な側面を見る
ことができなくなってしまいます。
人は自分の持つ意味づけにとらわれて、物事の判断をしているのです
ね。すべてのことには、色々な意味づけができるのですよ。そして、
人はみんな、過去に起こったことに囚われて生きているのですね。過
去という目に見えない檻の中に自分を閉じ込めてしまっているのです
よ。」
セミナーの一日目の最後に宿題が出た。「過去という檻の中から、自
分を解放してあげましょう。そのために、宿題を出します。今、世の
中で一番嫌だと思っている人が誰にでもいますよね。
その人に手紙を書いてください。手紙の内容は優しく寛容で、その人
の過去にした行為を許しあげるという内容にしてください。そして、
手紙を書き終わったら、その人に電話して、手紙の内容を伝えましょ
う。」
イチローは動揺した。「自分の父親にそんな手紙が書けるだろか?」
セミナーが終わったのは、午前0時近かった。みんなが帰り始めたこ
ろ、イチローはセミナー・リーダーに質問した。
「自分にとって一番会いたくないと思っている人間は、自分の父親で
す。」城ヶ島の体験談をまた持ち出して言った。セミナー・リーダー
は言った。「これは今日の宿題だよ。君はセミナーの始まる前に、1
00%全力で参加すると約束しただろう。約束は守らなければね。」
このセミナーでは、始まる前にセミナーで行われることはすべて、全
力で参加すると約束させられる。それができなければ、セミナールー
ムから退出させられる。
そして、出た宿題はすべて次の日が始まるまでに終わらせると言うこ
とも約束のうちに入っていた。イチローは言った。
「手紙は何とかするとしても父親に話をすることなんかできません。」
「それでは、手紙を書いたら誰でも良いから、理解してくれそうな人
に話を聞いてもらいなさい。」
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2007年
10月
29日
原書リーディングコンサルタントのマックス石田です。
昨日は妻とバスツアーで五色沼に行って来ました。朝6時35分のバ
スに乗り町田市内へ、そして7時20分の観光バスに乗る必要があり
ました。
朝5時に起きて約1時間自分の仕事を済ませいざ出陣。行きは、1時
間遅れ13時に到着。帰りも21時町田着の予定が2時間遅れて23
時に到着。
帰宅してPCに向かったのは24時、やっと自分の時間が持てた。
社内は、4人組の声の大きなおばさんたちだ。会話を一瞬足りとも止
めることなく永遠に会話は続いた。家族構成、年収、夫に対する、家
族に対する考え方を全て露呈して去って行った。
女は共感の動物、自分に共感して会話をストップさせない限り永遠に
しゃべり続ける。
10時間も連続して聞きたくもない会話を聞いていると発狂したくな
る。
どこの休憩所に行っても女性トイレの列はとてつもなく長い。20分
も待たないと自分の番は回って来ない。
しかし、男子トイレの「大」は、空いている。「女性を捨てた」おば
さんたちは男性トイレに恥ずかしくもなく堂々と入り用を済ませる。
圧倒的に60歳以上の人たちだ。アイスクリームを買おうと並んでい
ると私の目の前に2人のおばさんたちが割り込みをした。
私は一人の肩を軽くたたき既に並んでいることを伝えた。素直に並び
直したので納得したがアンフェアは嫌いだ。
日帰りバスツアーは結構辛いものがある。まあ、妻が企画し楽しみに
していたので付き合っただけ。でも満足そうだったので安心した。
ウィキペディアによると、五色沼とは、磐梯山の北側(裏磐梯)にあ
る大小数十の湖沼群のこと。緑、赤、青など、様々な色の沼がある。
五色沼の一つである毘沙門沼の「緑」の湖面に紅葉の「赤」が映り非
常にきれいであった。郵便局もセブンイレブンも高いところにある看
板は黒系・茶系の色が使われていた。
紅葉が目に入る高さに看板の原色が映えると紅葉の鮮やかさを殺して
しまう配慮なのだろう。
車内では、クリス岡崎氏がこれから出す本をいち早く読み切ることが
できた。とにかくすごい本だ。11月に入ったら紹介させて頂きます
ね。
妻と一緒に過ごすことができてよかった。でもしばらくバス旅行はた
くさんだ。
2007年
10月
27日
ニュー・ビジョン・セミナーの説明会では、「自分が知っていること」
「自分が知らないと知っていること」そして、「自分が知らないとす
ら、知らないこと」があるのだそうだ。
「自分が知っていること」と「自分が知らないと知っていること」は
理解できるが、「自分が知らないとすら、知らないこと」があるなん
て考えたこともない。イチローはとても興味を持った。
その週末、ニュー・ビジョン・セミナーが始まった。人は、身の回り
で起こっていることの意味づけを絶えずしているのだそうだ。そして、
その多くは他人や自分の置かれた環境を非難するようなこと、例えば、
自分が腹が立つのは仕事場で上司が嫌なやつだからとか、自分がこん
なに不安になるのは恋人がしばらく連絡をくれないからだとか、うち
の亭主の収入が良くないから、生活が苦しいのだとか・・・・諸々の
愚痴というやつである。
イチローは反論した。それは、非難すべきじゃない人を非難する愚痴
もあるだろうけど、そうじゃないこともある。そして、セミナーで、
遠い昔に城ヶ島であった一件の話をした。
「絶対に、僕が正しいです。」
セミナー・リーダーがイチローに言った。
「それは、あなたが意味づけしたことよね。」
「一般常識で考えても、僕が正しいです。」
「一般常識って、何かしら。」
「みんなが知っていることです。」
「みんなって誰?」
「世の中の人みんなです。」
「あなたの言う一般常識を一般常識と思わない人もたくさんいるんじ
ゃない?」
「それはそうかもしれないですけど・・・そう思っている人の方が少
ないはずです。」
「そう思っている人の方が少ないはずですって、何で分かるの?」
「僕がそう思うからです。」
「それも、あなたが意味づけしたことよね。」
「・・・・・・」
「それじゃ聞くけど、片手の拍手の音ってどんな音?」
「????」
「どんな音?」
「片手では音が出ません。そんなものはありません。」
「それは、あなたがそう思っていることでしょ?」
「でも、音が出ません。片手の拍手の音はありません。」
「誰か分かる人はいますか?」
若い女性が手を上げた。「片手の拍手の音は片手の拍手の音です。」
セミナー・リーダーが言った。「その通り。 イチロー、あなたは音
というものに捉われていたから、そんなものは無いと答えたけど、答
えがあるのが分かった?」
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2007年
10月
26日
父への手紙
ある日、アンソニー・ロビンスのセミナーで一緒だったマウリーンか
らメールが入った。ニュー・ビジョン・カウンセリング社というとこ
ろが、自己啓発の良いセミナーを開催しているという噂を聞いたとい
うことだった。
何が良いのかも聞かず、ネットで検索するとシカゴにも支社がある。
早速、その日の夕方、ニュー・ビジョン・カウンセリングのシカゴ支
社に行った。そして、内容の説明会が終わるや否や、セミナーに申し
込んだ。
「せっかく取るなら、早いほうがいい。」そう思って、受け付けの人
に尋ねた。
「今週末にあるセミナーに参加したいのですが・・・・」
「今週末のセミナーは申し込みを締め切ったので3週間後のでどう?」
「どうしても、今週末のセミナーに出たいのですけど・・・・」
「それじゃ、ビルに直接交渉してみて彼が決定権を持っているから。」
そういって、小柄ながら恰幅のいい男性を連れてきた。イチローはビ
ルに言った。
「どうしても、今週末のセミナーに参加したいのですが・・・・今日
の説明会を聞いてどうしても出たくなったんです。」
「誰かの紹介で来たのかな?」ビルが尋ねた。
「アンソニー・ロビンスのセミナーで知り合った人から聞きました。
でも、その人もこちらのセミナーに出たことがあるわけではないので、
自分で探してここにたどり着きました。」
「うちのセミナーに出たいと言う人は、大抵、人から紹介されて来る
んだが、君は少し変わった人だね。」
「今日の説明会にあった自分の知らないとすら、知らないことが何か
探してみたいんです。お願いです。どうしても、今週末のセミナーに
参加したんです。何とか、お願いします。」
「わかった、君の熱意はすごいよ。今週末のセミナーの申し込みは締
め切ったんだけど、特別に許可してあげるよ。」
「ありがとうございます。」
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2007年
10月
25日
リレーションシップのことだけは話したくない
思春期を過ぎ、成人してからもイチローは女性に話しかけるのが苦手
だった。イチローは普段から無口ではあったが、素敵な女性を目の前
にするとますます何も言えなくなった。
女性の前では、自信の欠けらもなかった。そんな自分がとても情けな
かった。それが、愛の無い家庭に育ってきたためとは知る由もなかっ
た。
何人かの女の子を好きにはなったが、いつも片思いであった。そして、
瑶子がほとんど唯一、思いを寄せた女性では、二人で何度か話をした
仲であった。
アンソニー・ロビンスのセミナーではリレーションシップ(人間関係)
とくに恋愛関係についてたくさんの題材が出てきた。そして、リレー
ションシップの話が出る毎に、「僕にはリレーションシップのことは
いらないんだ。」と自分に言い聞かせた。
アンソニー・ロビンスのセミナーに参加していたある時、60人ほどの
グループで輪を作ってリレーションシップについて話し合うことがあ
った。
その時、イチローは極度の疲労を感じて、ひざを突いてしまった。そ
して、輪の外にはずれた。イチローの目からは涙が流れていた。セミ
ナーリーダーの人が心配して声をかけてくれた。イチローは答えた。
「リレーションシップのことは話したくありません。」
「外に出て、少し休んだらどうかな?」
「今日は一日、出たくないんです。」
「リレーションシップは大事だよ。」
「僕には要らないことです。一人で生きていけますから。」
そして、外に出て、セミナーリーダーに自分と父のことを話した。セ
ミナーリーダーは、イチローのことをじっと聞いていたが、話を聞き
終わると言った。
「お父さんとのことはいつか何とかしないと、君の人生にいつまでも
重くのしかかってくるよ。」
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